1844年6月6日、ロンドンで12人の青年が集まり、YMCAは誕生しました。当時のイギリスは産業革命によって工業・産業は発展する一方、物質至上主義による人間性の荒廃が蔓延する世情でした。特に、少年期から労働者として働かされた青年たちの心はむしばまれていました。そんな中、ロンドンの一商店の店員であったジョージ・ウイリアムズと仲間たちは、イエス・キリストの教えに基づき、青年に対し、祈りと奉仕の活動を始めたのです。それが170年にわたるYMCAの始まりでした。
その後世界各地に広がったYMCAはそれぞれの地で新しい活動を創り出していきました。ドイツでは職を求めて旅をする若者たちのために、安心できる宿舎事業が行われました。北米では、YMCAのロゴマーク「赤三角形」が創られ、「精神」「知性」「身体」のバランスのとれた成長を願って、教育キャンプや体育プログラムなどの社会教育事業が発展しました。YMCA主事によって、1891年にバスケットボール、1895年にバレーボールが考案されました。
日本では、1880年東京で始まり、多様な分野でパイオニアとなる働きを全国各地で展開してきました。日本ではじめての英語学校、室内プール、そしてバスケットボールやバレーボールなどのスポーツ競技、野外での教育キャンプ、それらの活動の中心となる「青年」という言葉もYMCAから誕生しました。
以後、青少年を中心とした(学校でも家庭でもない)社会教育を行う団体として各種事業を展開し、全国250カ所以上の拠点で、14万人が活動するまでになりました。地域のニーズや問題解決する手段として事業展開し、保育園・幼稚園・子ども園等の幼児教育、学童・アフタースクール、水泳・サッカー・体操等のスポーツプログラム、野外活動(キャンプ)、音楽・アート教育、教育児童発達支援、オルタナティブ教育、専門学校から、成人のためにフィットネス、英語その他の語学教育、日本語学校、高齢者支援などを行っています。
同時に世界に連なる社会貢献団体として、ボランティア活動、寄付活動も積極的に行い、東日本大震災では6年間の活動でおよそ5万人のボランティア、9億4千2百万円の募金が国内外から集結。熊本地震でも指定管理者として避難所運営を行い、子ども・高齢者・女性・外国人・ペットにも配慮した人道的支援で大きな注目を集めました。日本のYMCAは世界につながるネットワークを活用し、多彩な国際協力・交流事業を行い、平和の創出を地域から目指してきました。